「JI」86年9月号 「再び思い遣りについて」 ミカエル大王様
 今月は再び思い遣りについてお話ししましょう。
 これは一九七九年七月に既に詳しく説き明かしたことなので、補足的な内容になりますが、
性格的なものとの関連を少し説明したいと思います。特に愛情との関りに於て。

 正法における愛は神と人に、縦と横に十字の形に流れる優しく暖かい感情であり、交流であると、
何度もお話し致しました。あなた方はこの優しく暖かい感情は何だと考えますか?
 感情の分析はやはり総合的に見て判断するもので、
容易なものと、屈折し、難しいものがあります。

 特に愛はエロスとアガペーとフィリアの三種類があり、その何れかと問えば、
この三種に共通すべきものであると言えます。
 エロスは往々にして、優しさや暖かさを欠く場合もありますが、
やはり人間の愛情表現である限り、それなくしては長く愛を保ち得ないでしょう。
 そして又、アガペーやフィリアは優しさや暖かさを抜きにしては存在し得ないものです。

 このアガペーやフィリアの代表する優しさや暖かさが人間としての高等感情であり、
対人関係を円滑にするものでもあると言えます。
 そしてこれが思い遣りなのです。

 優しさや暖かさ即ち思い遣りは、しかし、優しい言葉や声音(こわね)とは違います。
 言葉や文は繕うことが可能で、偽ることも出来ますが、思い遣りは真に他の益となり、
動物や人間に代表される他者を育成し、その存在や生存を支えるもの。建設的な感情です。
 即ち思い遣りが個人の愛情の基盤にある限り、それは知恵の泉ともなり、
正しい判断の指針ともなって、あらゆる繁栄が齎され得るでしょう。
 商いや政治も互いの生存を許した上での個々の存立を追求するものであれば、
広義の思い遣りであると言えるのです。

 それに対する感情がエゴイズムであり、ナルシシズム。
 他を犠牲にして省みず、破壊と崩壊に導く感情で、総ての物を破壊し、
遂には自らも滅してしまう幼児的な性格が代表します。
 そしてこのような人物の下には、動物も人間も社会も、国家さえも存続し得なくなるのです。

 共産主義を信条とするソ連や共産圏、共産主義政権が
如何にこのエゴイズムに成り立ち、幼児的な残酷な世界を展開して、
他国や他民族を破壊し、崩壊させつつあるかを見れば、良く理解し得るでしょう。

               (八十六年八月二十五日 口述筆記 千乃裕子)

天上界からのメッセージ - 神から授けられた正法