「JI」85年1月号　「人間の知性が滅びを求める時、天もそれを救い得ない」　ウリエル様
（「天上界メッセージ集・続（86年1月初版）」47頁掲載）
　新しき年を迎え、世界的テロや国内の凶悪犯罪に、変わらず世情の混乱と動揺の解決はされず、
去年と同じく不安な一年の始まりを繰り返すこととなりましたが、
米ソの軍縮交渉も長期作戦となり、西側同盟諸国がソ連という野望の塊である、
世界制覇をしか夢見ない超大国の言葉や条約から、
信頼し得る歩み寄りを確保するのは実に至難のことと言わねばならないでしょう。

　彼等から何等かの譲歩を引き出せるのは＂力＂のみ。
　その見地から、カーター政権時の大失態である＂デタント＂のギャップは益々広がり、
同盟国や自国の議会の無理解により、
今や米国は、対ソ軍事優位を獲得するのは不可能となりましたが、
「力の均衡」を目的としての対ソ抑止力を推進する
レーガン大統領の宇宙戦略防衛計画（ＳＤＩ）構想及び、
それに全面的支持を表明した英国の一化学者であり、且つ英知溢れるサッチャー首相に、
米国の同盟国でありながらソ連の顔色を窺（うかが）う愚かしい軍事弱小国である日本
の安全も間接的に保障されたように見え、少しは安堵を覚えるものがあります。

　新自由クラブと連立政権を已むなくされ、
秋の再選時には二階堂副総裁擁立の政権交替劇が野党と社会党出身の長老によって計画され、
幸い実現には至りませんでしたが、めっきり気弱になった中曾根首相は、
野党寄りの河本派総務などの強い反対に遭い、
防衛費１％枠見直しに決断を下せないという情けない状態です。
　この国にあってその前途を憂う私達天上界も、一国の防衛は相も変らず、
国民や国の安全ではなく、政治家に決定権が預けられている事実を
ひしひしと感じさせられております。
　一国の浮沈は指導者の裁量によることは、
社会主義化の途上にある国には既に悲劇なのです。

　言葉を変えれば、人間の良心を根本から否定する共産主義思想に毒され、侵された社会は、
破滅の一途を辿る未来しかありません。
　共産主義国と友好条約下にある弱小国も同じ。
　95万人の市民と5万人のゲリラ（実は国を愛し、主権を守ろうとする愛国者の群れ）
が無差別にソ連軍に殺され、
しかも、侵略を傀儡（かいらい）政権のみの協力によって正当化しようとする、
悪魔の国の支配から逃れられないアフガニスタン。

　ソ連に牛耳られるアフリカ社会主義諸国の飢餓に喘ぐ実情。
　十七ヶ国社会・共産主義諸国の悲劇の歴史。
　それ等を理解しながら蜘蛛の網に捕らえられた虫のように、
自らを解き放てない人間の知性は、人類という種の滅びを暗示するかに見えます。
　多くの善霊が殺され、悪霊の跳梁する天の反映でもありながら、
世の終わりが避けるべくもなく忍び寄る現実と、
それを来たらせるのは一に人類の無知と無自覚と無思慮な支配欲であると、
如何にすれば覚らせ得るのか。

　善を喜ばず、悪に走る人類の業（カルマ）と言うべきでしょうか。
　人間の知性が滅びを求める時、天もそれを救い得ないと、
あなた方は果たして理解しているのでしょうか。
　正法を学ぶ者も、正法誌を読む者でさせも、何が世の終わりを齎すのかを、
現実に理解している人は少ないように思えます。
　正法を現実逃避と喪失しつつある自己と自己への信頼の
回復の場としか捉えていない人々が多過ぎるのです。

　そういった人々の救い難い自己保身のエゴイズムの醜さが世を滅ぼすのです。
　凶悪犯の広田のように悪を広言して憚らない人々と同罪であるのは、
こういった無責任で無自覚な人々であり、国を社会を、世界の総てを破壊に導くのは、
この愚かな人達なのです。
　広田を弁護し、悪知恵を与える左翼系の弁護士も同じ。
　グリコ・森永犯に警察でありながら捜査上の秘密を平然と漏らす左翼系の人物。
　共産主義を信奉する消防署幹部等すべてが滅びに手を貸しているのです。
　まだこの国が法治国である唯一の証は、
高裁や最高裁が犯罪の裁定に良識的であり、正しい良心と判断に基づき、
社会の秩序を破壊する者には、厳しい判決を下し得ることでしょう。
　歎かわしい現実です。
　　　　　　　　　　　　　　（八十四年十二月二十九日　口述筆記　千乃裕子）

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