第三章 天使の章

 (五) ウリエル大天使
 現在世界数十ヶ国で、政治の本質を知る者は、ほんの一握り程です。
そして末法の世らしく世の中が乱れ、政治の腐敗が至る所に見受けられるのは、
一人それぞれの国の責任でもなく、又行政機構の優劣のみではありません。
 何故ならば、それを許した参政権を有する国民全体もその責を問われねばならないからです。


 ではそのように混乱した社会をどのようにすれば良いのか
と申しますと、幾千年に及ぶ人類の歴史に刻まれた変換期を思い出して下さい。
 フランス革命、明治維新、独立戦争、などです。
 明治維新を例に取ると、まず民衆が世が変わることを要求し、その声に育てられ、
それに応えるかのように英雄が登場してきます。
 そこで英雄達、坂本龍馬、木戸孝允などは、時代の変革の流れに乗って旧体制を打破し、
新しい体制を確立しました。新しい時代の誕生です。
 ナポレオンも同じような時代を背景としています。キューバのフィデル・カストロ又しかりです。
 結果の良し悪しは問題外として、どの革命もほぼこのような形態を取りました。

 さあそこで考えることは、果してこの変換期である現在、
世の中が変革されることを望んでいる社会は真に英雄を必要としているか否かです。
 答えはノーです。
 何故かと申しますと、今まで行われて来た革命と、
現代が要求している変革は根本的に質が違うからです。
 その根本主義は民衆の個々の権利、自由を確保し、
利益に供する政治、政治形態を目するものでなければなりません。


 それまでの革命は旧体制が、人権を無視するものであった爲、
民衆を苦しめる原因となるものを除き、改革が行われました。
 そしてここ日本に於ては現在の所、意義を持つべき筈である政治が腐敗しているとはいえ、
形態は民主主義、資本主義の形を取り、
 不満はありながらも一応人権尊重の上からはそれを敢て大幅に変更する必要はありません。
 それが私達天上界の意見なのです。


 他の政治形態、社会主義国家、共産主義国家、独裁政治に牛耳られる国家に比すれば個人の意見、
生活は曲がりなりにも保護されています。
 同じことですが、アテネのポリス政治に於て国家的英雄を必要としなかったように、
米国並びに他の民主主義国家の中でも強いて一人の英雄崇拝、
それに国民が盲従するという必要はありません。

 社会主義が退廃するのは、
国民一人一人の意識の後退から良心の麻痺、堕落への総合的結果であり、
それを健全な方向に持ってゆく為には、個人個人に呼び掛けて

その自覚及び精神生活の改善を待ち、社会全体の健全化を図れば良いのです。
 言い換えれば、それしか手段は無いということです。

 一人一人が意識の革命を起こし、
一人一人の手によって目に見えない部分を変えてゆくしか無いのです。
 意識の向上とも言うべきでしょうか。
 そしてその為に私達天上界は高橋信次様が御在世中に正法を三次元の皆様に伝え、
その死後、メシヤ信仰に陥りそうであったG会の解散を暗に目して、
"一人一人が法の継承者となれ"と再びこの方をして言わしめたのでした。

 日本がいや世界が、神の法たる正法の伝承をするにメシヤ(一種の英雄的存在)
の出現を待たねばならぬのならば、
再び英雄崇拝に甘んじる意識の低下により世界の精神は後退し、

知的レベルの高さにも関らず、非文化国家、低開発国の国民に見られる、
少数の指導者によってしか統一出来ない国の集まりとなり、
そしてそれがいずれは独裁主義、全体主義などの個人の権利、利益無視の政治形態を招き、
世界大戦の可能性の誘因ともなります。


 天上界が民主主義政治形態を世界の平和、ユートピア作りに推奨するのは、
それが個人の基本的人権を保証すると同時に公共の福祉にも資するものであり、
専制権力への防止として国民に主権を与える、
即ちすべては人類個々の生命・自由及び幸福追及の権利を確保することを目的としており、
そしてその中に於て個人個人の責任と義務の履行が待たれる

 即ち正法と同じ性質を有するからです。


 残念ながら、現今の民主主義政治はともすれば、
一特権階級の進出、(貧富の差など)一政治家の支配
(ソ連のプロレタリア民主主義の名の下にスターリンの支配が継続し、
全体主義国家の様相を呈した)や、
米国に於ける極右的思想(マッカーシズム)などにより腐敗と危機を呼び、
今や単なる特定の政治体制として扱われることにより、
その価値が世界に認められなくなりつつあるのですが、
民主主義の真の目標とする所を学び、検討する時、
その原理が神の国を築く為に最も相応しい、即ち正法に適うものであることが理解されます。

 それを私は再び皆様の前に提起し、そこに豊かに唱われている精神重視の思想、
神の前には人は等しく平等
であり、すべてを選択し、
個人の理念に基づいて善の為に社会に奉仕し、人類に奉仕する
そして神の愛と平和を、人類愛と人類相互間の平和に変え

そのような世界が齎されることを私は心より願っております。

 この最後の審判は現今の堕落し腐敗した社会にメスを入れ、
その患部を切除する役目を果すもので、
今までも内科的投薬による療法が功を奏さなかった為に、
切開、切除という外科的手段に訴えざるを得なくなったものです。
 その後の速やかな回復が待たれます。

天上界からのメッセージ - 神から授けられた正法