第四章 天上界の人びと

 (二) ガブリエル大天使
 私は六大天使の一人ガブリエルでございます。
私達六大天使は、ミカエル大天使長の下で働いておりますが、私どもの下にも多くの天使達が、
それぞれ大天使の下について仕事をしております。
 私は伝言伝達を司っておりますが、後の五人も皆それぞれの役割を持っております。
 パヌエルは科学全般、ラグエルは律法など … 、
私達六大天使も他の天使達や天上界の者と同じように日夜魂の修業に励んでおります。
 私はかつて、デンマークの哲学者キルケゴールとして生まれ、
キリスト教徒の真の姿を説き、実存主義の基を築きました。
 又、イタリアの一教父として生まれ聖書を研究し、
キリスト教の本来の教えを人々に広めました。
 ドイツの哲学者、ショーペンハウエル、音楽家シューベルト、詩人バイロン、
詩人ダンテとしても生まれ、それぞれ仕事を行ってまいりました。
 このように、私も魂の修行の為、何人かに転生してきたのです。
 
 魂の修業とは、この章の終わりにある高橋信次の章で詳しく説明されており、
又第一章(著者の霊体験)で、どのように神というものの存在が高められていても、
個人がそれに近くなろうと努力するのでなければ無意味であることを、
他の例を引いて説いてありますが、私のお話ししたいこともそのことなのです。
 "あのように立派になりたい"、"あのように素敵な絵を描きたい"、
"あのように素晴らしく歌をうたいたい"などの欲求は、
人間本来の向上心と名付けられるべきものですが、
それ以上の心の浄化という過程を経て持つ欲求は、もっと高いものを目指し、
もっと高い悟りに根差したものなのです。
 
 あなた方が何かをしようとする時、
あなた方の心で"それは良い"とか"それはいけない"という
批判の声が聞こえるのを感じませんか?
 もし聞こえる方があるとすれば、
その方は天上界から来てあなた方と合体している霊が、あなた方に教えているのです。
 もし聞こえない方がいるとすれば、
その方には天上界の霊が付いていてくれないのかも知れません。
 それを良心と呼ぶ人もおれば、心の声、或いは善我と呼ぶ人もおります。
 
 あなた方の中でこの良心、即ち善なる我の声、を意識しないで生きている方があるとすれば、
その方は周りの人に大変迷惑をかけ、又、その方達から嫌われているかも知れません。
 そのような人にならない為だけにでも、内なる善我の声に耳を傾けて頂きたいのです。
 あなた方が、もし天上界の高い次元から来た魂と合体しているのであるならば、
尚更、あなた方の魂を清くし、これで果して良いのであろうか、
自分は正しいことをしているのであろうか、ということを常に考えていって欲しいのです。
 
 天上界の霊はすべて善なる心を持っていますが、あなた方が美しい心や清らかな心
(即ち、この世的な欲望や物事に対する感じ方を言っているのですが)の持主でなければ、
彼等はあなた方を好きになれないのです。
 好きになれないからといって、
あなた方を放り出して一人ぼっちにしておくということではないのですが、
あなた方に親しく話し掛けてくれなくなるのです。
 それを淋しいと思わないで、意地を張ったり、捻(ひね)くれたり、僻(ひが)んだりして、
心の美しい清らかな人に辛く当たったり、
その人を変わった人種ででもあるかのように扱うことは天上界では許されないのです。
 却って、その美しさや清らかさに自分が少しでも接して、吸収したい、
どうすればそうなれるか学びたい、という心がなければ、
あなた方に天国の霊は優しくもしてくれなければ、親切にもしてくれないし、
あなた方の人生は暗く不幸なものになるでしょう。
 "光を愛する"ということはそういうことなのです。
 その反対に美しいもの清らかなものを避けたり、嫌がったりする人は
"闇を愛する"人であり、悪霊の好むタイプなのです。
 その人を守っている善霊が離れれば、すぐ悪霊が憑依してくるのです。

 あなた方が悪霊と一緒に住み、地獄に何千年も閉じ込められていたいなら、
光から逃げてもよいのです。
 しかし、"光"が好きであるならば、馬鹿な生き方は止めて、
光に相応しい心を持つように努力しなさい。
 光に相応しくない人が光を愛しているように装うのを偽善といい、偽我というのです。
 偽我は悪霊や地獄霊のものなので、天上界に迎えられたいと望むような人は、
偽我を完全に捨てなければならないのです。

 天上界は誰でも迎え入れるように見えますが、とても厳しく、
自分を偽って心の反対のことを言ったり、したり、するような人は
幽界かさもなくば地獄へ行かされるのです。
 どのように高い次元から来た魂と合体している人でも、

天国はどんどん低い次元に落とします。
 これらはすべて魂の修業をする過程で起こります。
 汚い心や醜い心を美しく浄化(清くすること)するまでは、

天国はあなた方を迎え入れてくれないのです。それを決して恨んではいけません。
 これを定めるのはすべてあなた方ご自身なのです。
 天国に昇るか、地獄に落ちるかは、すべてあなた方自身で選ぶのです。

 
 肉体は、せいぜい百年位で滅んでしまいますが、
その一生で経験したことや、その時々の気持ちや行動はすべて魂に記録されます。
 魂というのは永遠不滅ですから、それも永遠に残るのです。
 沢山の経験を積めば、判断力が増しそれだけ成長することになりますね。
 そして、天上界に帰った時も、そのような経験を土台にして、他の方のお話を聞いたり、
また守護霊、指導霊となり三次元の人の身辺を守り指導することによって
自分の心をも高めていかねばなりません。天上界に於ても修業は続くのです。

 すべての物事に於て、もうこれでいい、もう完全である、というようなことはないのです。
 人は死ぬまで勉強だといいますが、
地上界での生活が終っただけで修業が終わるのではありません。
 永遠に修業が続くのです。
 そして、あなた方ばかりでなく、私達天上界の者も日夜魂の修業に努力しております。
 自己の魂の修業は、決して自分一人の為だけではございません。
 自分が何かを悟ったなら、その悟ったことを他の人々に教えることが出来ます。
 それによって、他の人々も悟りに近付くことが出来るでしょう。
 ですから、他人の為に何かをするということは、自分を高めるということになります。
 しかし、このように自分 = 他人というような悟りに達するまでには相当な努力が必要でしょう。
 けれども、あなた方がその気で行えば、出来ないことは何一つないのです。

 神の代行者であられるエル・ランティ様でさえも修業を続けるという点では、
私達天上界の者も地上界のあなた方も同じなのです。
 あなた方は、私達と心を同じくする仲間です。
 ですから神を信じ、善なる心を信じ、行おうとするすべての正しい人達よ、
あなた達は一人ではありません。
 あなた達の仲間が天上界にも、この地上界にも沢山いるのです。
 それを何時も心に留めていて下さい。
 私達と共に歩みましょう。共に魂の修業に励みましょう。私の言いたいことは、これだけです。
 
 すべての魂よ、少しでも神の心に近付けるように努力していって下さい。
 私達天上界はあなた達と共におります。天上界の者はすべてあなた達と共におります。
 恐れず進みなさい。あなた方に幸福が訪れますように。

天上界からのメッセージ - 神から授けられた正法