十二月号にガブリエルが、弱者への慈悲と思いについて書き、
しかもそれは残念なことに、出版社への誤報の錯綜(さくそう)によって生じたもので、
特定の正法者への戒めとしての効力はなくなりましたが、
幸いにも一般的な教えと助言としての価値は失われてはおりません。

 それに関連して、最近エイズに感染した母親は妊娠や出産をすべきでない。
 或いは出産させるべきで、胎児の生命は奪ってはいけない ー
などの賛否両論が、新聞の投書欄をにぎわしているようです。
  私達の見解は、しかし、やはり責任ある社会人であり、父親と母親であるならば、
片方が保菌者と判っているなら、妊娠は避けるべきであるとします。
 みすみす病気との闘いと苦しみの連続であるエイズ感染者として赤子が誕生することは
哀れであるし、又その赤子の成長、成人までに関り合う周囲の人々の蒙る迷惑は、
母親としてやはり、考慮すべき事柄であり、自分本位の欲は慎むべきでしょう。

 近親結婚を避ける道徳心は、
劣性遺伝児を作らないという社会人の責任と義務感から来ています。
 何でもよいから欲しいなら子供を産ませるべきと、
社会がカトリック教会の教えのように、"生命の誕生を阻んではならない"
等の理性と知性を欠いた標語を作り、宣伝してはならないのです。
 そのように説く評論家は恐らく、
社会や国家の崩壊を目論む左傾思想の持ち主であろうかと思いますが、
妊娠して中絶期を過ぎてしまった胎児の出産は仕方がないこととしても、
日本のように家庭の経済状態によってさえ、中絶を許可される国で、
エイズ感染の親が子を産むのを禁じてはならないという社会の観念は不合理、不健全なものです。
 無責任な親と無責任な社会の所産に過ぎないもの。
 その概念を広げてゆけば、花の苗を間引くことさえ許されなくなります。
 ありとあらゆる動植物の生命を絶つことも心情として許せないと、
妊娠や出産を肯定する評論家が言うのならば、
大変に慈悲深い心の持ち主だからそう言うのだと理解しますが ー 。
                         (八十七年十二月十日 口述筆記 千乃裕子)

天上界からのメッセージ - 神から授けられた正法