「JI」88年6月号 「老人性痴呆の進行と阻止について」 ミカエル大王様
 前月号に引き続き、今月は老人痴呆の進行と阻止について
私個人の感想を述べたいと思います。
 痴呆といっても所謂アルツハイマー病に関するものですが、
特に脳内血管中に沈澱して血流を阻害するアルミニウムは、
レシチン製剤(九五%フォスファチジル・コリン)を摂取したり、
ステンレス製の調理器具などを使用することで、体外排除に効果を上げ、
それ以外に貧血や低血圧症を齎す疾患があれば、治療を並行させる。
 更にビタミン・ミネラル剤を常用、血液の代謝促進を計る
などによって本人の意欲があればかなりの回復が可能になるようです。

 といっても一旦死滅した脳細胞は再生不能ですから、
記憶を別の部位で代替することにより、
すべての事象とそれに対処する方法を一から再学習するしか術はありません。

 悲しい事ですが、それが現実です。
 従ってその家族は突然に幼児が現れ、
(或いは動物よりは判断と知恵が劣り、本能は動物並みの強靭なものを兼ね備えた
人間という動物が)今迄任せておけた仕事も責任もこの老人には期待出来なくなり、
殆どの生活習慣を本人が再学習するまで手取り足取り教え、
世話をしてやらねばならなくなります。
 詰り、一人の老人に一人の付き添いが必要となるのです。
 大家族であれば手はあるでしょう。しかし、少人数となると、その余裕は無くなります。
 だから専門医が勧めるように特別老人ホームに入れるか、専門の精神科に通わせる
(或いは酷い場合は入院)しか方法は無いようです。

 しかしそれが可能でない場合、即ち付添を雇う余裕なく、
その老人もある程度の仕事をさせなければならない
(他に家族が居らず二人だけの場合など)時は、
二十四時間絶えず家人との接触によって生じる軋轢(あつれき)が
却って家人と老人の精神の安定を壊し、
家人は期待を裏切られ、失望と苛立ちによるストレスが重なり、
老人はそれによって自分も失望し、苛立ち、
家人が自分への同情や思い遣りが無いと逆恨みするようになる。
 しかも劣等感から嫉妬心が強くなり、家人の生活の妨害を始める。
 といったマイナスの、益々悪化の一途を辿る対人関係が生じてくるようです。

 私が先月お話したように老人に至るまでの生活習慣が、
やはりこの痴呆が進行する時期に顕著に表れてきます。

 又、老人の言動が家人を苛立たせ、満足を与えないのを見て、
却って老人は相乗的に責任放棄の状態で、自ら痴呆を進行させてしまうようです。
 一種の鬱病とでもいうのでしょうか。大脳が不活性化してしまうのです。
 或いは精神病の症候群とでも表現すべきものでしょうか。

 私個人の考えとしては思春期の非行化も、
躁鬱的に表れるやはり軽度の精神病(又はノイローゼ)の一種であり、
それによって自分の心に鬱積するストレスを解放しようとする自浄作用でもあるのでしょう。
 本人が年齢的に或いは精神的に成長すれば治ります。

 精神の病に関しては、必要となれば、もっと深く掘り下げ、解明することも可能ですが、
今月号では表面的なものに留めておきましょう。
 一言で言うならば、精神の病も遅滞も、本人が一社会人としての責任を放棄し、
自分の人生や生活についてくよくよと考え始めた時点で始まる
のです。
 従って身体面の痴呆を阻止する治療も努力も、
家人との精神的な摩擦によって生じるストレスがある限り、効果が上がらず、
家庭の崩壊の原因となるのです。

 やはり家人との接触を減らし、しかも付かず離れず、一定の距離を置き、
一定の時間は家人との触れ合いを保つ事によって、お互いに精神の安定を得、協力し合い、
互いに満足を与え合う(家族であることを再認識させて安心させる)ことにより、
一つの社会を再構築してゆけるのです。

 一つ屋根の下ではなく、出来れば二、三分の所に別の住まいを得、本人に一人で生活させる。
 これが非行少年少女の場合であっても同じです。
 非行の場合寮生活が良く、親御さんとは接触を減らし、気に入ったクラブ活動などをさせるなど、
一定の規律の下に家族とは異なる団体生活をさせるのが効果的でしょう。
 といっても仲間と雑魚寝のような生活ではなく、一人が一室を与えられ、
整理整頓は各人の責任に任せられることが大切。
 社会生活とは義務と責任を果たすことであるのを自然に学ぶ環境が必要です。

 勿論非行の場合も、身体面の健康は留意してやらねばなりません。
 若年のアルツハイマー病という症状もあり、青少年も大脳が気質的に不活性化すれば、
生活環境の調整も役に立たないからです。
 自閉症児も非行ですが、老人痴呆の場合も、
身体面の調整をしながら、社会に受け入れられる為には自立しなければならず、
自立する為にはして良いこと(為すべきこと)と、してはならないことを、
はっきり教えてゆかねばなりません。
 甘やかしてはならないし、

本人がこの社会には不要のものといった疎外感を与えてもならないのです。

 これは身障児の場合も同様。
 家人は医師と同様に、ヘレン・ケラーを育てたサリバン教師の如く、
接しなければならないのです。
 教師の立場にない知人、友人は一定の距離を保ち、細かい所に干渉しないこと。
 所謂普通の社会を形成してゆけば良いのです。
 といったようなことが老人痴呆にも効果が上がることに気付きました。
 甘やかされて育った子供も大人も老人も、
社会人としての責任を果たすようになれば精神も成長し、

大脳も活性化するものであることが明らかになったのです。
 これらは勿論正法者としての人格に至る以前の問題であることは言うまでもありません。
 又、この自立を主体の生活が却って、
精神科やホームに預けるよりも痴呆の阻止に効果がある方法であるかも判りません。
                  (八十八年五月八日 口述筆記 千乃裕子)

追記 只、正法者医師の木村忠孝様が既刊号で指摘された如く、
依存型性格(異常性格)及び自閉傾向が痴呆症と同居する場合は
家人の対応は非常に難しくなり、私の述べた一般的な対処法では効を奏さない
ことはお知らせしておきたいと思います。 
                              (ミカエル)

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